April 06, 2006

マクロビと玄米 4)フィチン酸の中の悪魔?

玄米の中のフィチン酸という成分があります。
強い抗ガン作用がありますが、同時にミネラル欠乏症を引き起こす、
天使とも悪魔とも云われる成分。

今日は、<玄米食・最大の問題点>のひとつ、
【フィチン酸】について。

テーマはひとつだけ。

「フィチン酸は薬なのか?毒なのか?」



 ■フィチン酸の問題点■

昔から云われていることに、

「マクロビオティックのような玄米菜食を実践する人は、
  やつれて、顔が色黒くなる」


・というものがあります。

その原因は、玄米の中の成分が体のミネラルを排出してしまうことによって起こる<ミネラル欠乏症>
長期的に玄米を食べ続けることで、深刻なミネラル不足を招き、白髪・腎臓の硬化などの症状が現れ、結果的に「短命」になってしまうと、云われます。

その問題の成分が「フィチン酸」です。

フィチン酸は「イネ」などの穀物の種子(玄米)や大豆などの豆類に多く含まれています。
次世代に「命」を繋ぐための大切なタネを、動物に食べられたら困るので、
身を守るために植物がそなえた「毒」である!・という意見もあります。

子供が玄米を嫌がるのは、その毒を体が拒否しているから。
致命的なカルシウム不足で、子供の背が伸びず、骨折しやすくなる

・なんて聞いたら、子供に玄米を食べさせられないでしょう。

・・?
でも、何か違和感を感じませんか?
身の回りの人に、玄米を食べて死にそうになった人、骨の折れやすくなった人がいるでしょうか?
マドンナの顔は色黒でしょうか?

玄米はホントに体に悪いのでしょうか?


 ■フィチン酸って何ですか?■

フィチン酸は別名【IP6】。
イノシトール(I)を中心にして、リン酸(P)が6個、エステル結合(くっつくこと)をした「糖」の一種で、ビタミンBの仲間です。

フィチン酸












IP6(フィチン酸)は人間を含む、ほとんどすべての動物の体内にあって、「細胞機能を制御する」大切な役目があります。
植物の中では、根を伸ばしたり、花を咲かせたりするのを手伝ったりしますが、主な仕事は「植物の必須栄養素」植物の体内に取り込んで、栄養が多すぎたり少なすぎたりしないよう、バランスをとることです。

さて、がんばって取り込んだこの大切な<ミネラル>。
水に溶けて流れてしまわないように、フィチン酸ががっちりロックします。
フィチン酸の中の<6つのリン酸>の腕に、カルシウムや亜鉛・鉄・マグネシウムが強力にくっついています。
この「ガッチリくっつくこと」を【キレート作用】って云います。
「キレート」とは、「カニの爪」の意味。

蟹







←こんなかんじ?

このミネラルをガッチリロックした状態が【フィチン酸塩】。
こうなると、もう水に溶けません。

より高等な植物である「イネ」のような種子植物は、
次世代に「命」を繋ぐ赤ちゃんである「米」に、ミネラルをロックした状態のフィチン酸塩をたっぷりつけてあげるんです。

米のぬか部分は特に多く、9.5〜14.5%がフィチン酸。
他の植物よりたっぷりフィチン酸がついてる。

それは子を想うイネの愛情のようなものでしょうか?


 ■フィチン酸問題とその答え■

フィチン酸は「植物のもつ毒」では、ないんです。

さて、じゃあ何が問題か?って云うと、

動物(人間も含めて)が、食べ物を体内に吸収するためには、
その食べ物が「水に溶けやすい状態」でなければいけない。

水に溶けないフィチン酸塩のミネラルは、吸収できないんです。
つまりそのままだと食べた玄米のミネラルは、体内に入って、そのまま出てきてしまう。

消化できないんですね。
これがフィチン酸の問題点です。


・・さて、この解答は【フィチン酸の中の天使】でお送りいたします。
お楽しみに♪

 【マクロビと玄米 5)フィチン酸の中の天使】へ続く


vegetus at 02:35│Comments(24)TrackBack(2)clip!マクロ本 

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1. 玄米の毒素排出力とフィチン酸  [ ♪マクロビオティックが楽しい♪(マクロビの心=平和) ]   April 09, 2006 00:17
私が初めて玄米をいただいた時は、排毒に2年ほど苦しみましたが、その後は苦しむことはありませんでした。 しかし、古代米、あるいは古代米に近い品種の玄米をいただくと、また、排毒が始まるのです。
2. フィチン酸とフィターゼ  [ マクロビオティック カフェ・レストラン 岩手県花巻市 玄米菜食 Sobe's Cafe(ソーベーズ カフェ) ]   February 15, 2009 19:19
JUGEMテーマ:マクロビオティック 本日の1dayお料理教室は6名。楽しく基礎の講座を終わりました。その時ど忘れてしてしまった フィチン酸。せっかくなのでブログでも解説させてくださいね。「玄米に含まれているフィチン酸は体内に必要な栄養素を吸収する前に排出...

この記事へのコメント

1. Posted by ちゃこ   April 07, 2006 15:01
papaさん、こんにちは!

すごい記事ですねぇ〜。

先日、このままこの食事を続けると5年後、10年後にかかるであろう将来の病気を予想する番組で、玄米を食べていた女優さんにミネラル不足から来る病名が付いていました。
知識がないと、この番組を鵜呑みにして玄米菜食をやめてしまう人が、きっといると思います。
知恵をつけ、知識を持つことはやっぱり大切ですね。
2. Posted by macrobi papa   April 07, 2006 19:18
こんばんは、ちゃこさん。

玄米を食べるとミネラル欠乏症になるというデータを、
片っ端から検証してきました。
確かにそういうデータはあるのですが
被験者の数が少なすぎたりすることが多く、
そのすべてはマクロビオティックを想定したものではありません。
また、どのように玄米を炊いたか?どのように食べたかによって、数値は大きく変わります。

今回の一連の記事でそういう杞憂はすべて無くします。

「玄米は美味しい」それだけでよいと思うのです。
3. Posted by マクロ美風   April 07, 2006 21:33
おっ?☆
きょうは、お休みですね。
私には到底書けない、「男の記事」が、またまた登場しましたね。
続きを楽しみにしていま〜す。

ホントは、「早く」と言いたいのですが、セカさないように、待ちます・・・。
4. Posted by 若葉   April 07, 2006 22:01
papaさん、こんばんは。

すばらしい記事ありがとうございます。いつも楽しく勉強させてもらってます。

イメージ図、いけてます。
papaさんのセンス、大好きです。

わたしも玄米を始めた頃、やつれるだの何だの言われました。でも、マクロな人にそんな人はいないし、色々勉強してみて、玄米を続けてます。
まあ、美味しいってのが一番の理由だったです、ハイ。
それがイチバンです。

それでも、こういう記事があると安心できてとてもありがたいです。

結果、長年の悩みだった便秘が解消されました。
でも、玄米のいただけない日が続くといけません。
すばらしきかな、玄米パワー。
ワッショイ玄米、です。





5. Posted by maisen   April 07, 2006 23:48
こんにちは。
今回も勉強させていただきました、ありがとうございます。

玄米食をする上でこのフィチン酸の問題は
ネックのひとつとなっているようですね。
今回の記事内にもありましたように
周囲に玄米食を実践して
体調がよくなったという方はいても
悪くなったという方はいませんし、
毎食玄米を食べている私自身が極めて健康であるので
心配するほどのことでもないのではと思っております。
それでもやはり心配な方は
玄米食はしないほうがいいのかもしれません。
心配を抱えたまま玄米を食べても体によい作用があるとは到底思えませんし、
なにより本来美味しく楽しくいただくはずの食事が
そうでなくなると何の意味もありませんから。

『玄米は美味しい』
私もそれだけで十分だと思います。

感謝
6. Posted by かこ   April 08, 2006 00:47
マクロビパパさん、おひさしぶりです!
とても素敵な記事なのに
笑ってしまいました!
キレートにカニが登場するなんて!
センス抜群ですね〜〜

フィチン酸のご自分でかかれたんですよね。
吸い込んでる絵が、芸術的です!!

次回も楽しみです♪
7. Posted by 小鉄   April 08, 2006 03:48
パパさんこんばんわ。
毎日すごい!!感動です。
何がすごいって。。。
それがリアルに分かるのは僕だけかも・・・
色んな人に知識と感動を与えていって下さい。
ではまた明日。正確にはあとで・・・
8. Posted by macrobi papa   April 08, 2006 08:12
おはようございます、マクロ美風さん。

僕は善右衛門さんのような料理はマネできませんし、ふうさんの経験もアヌビスさんの知識もありません。でも、それぞれの人がそれぞれ出来ることがあるように思います。
誰かのマネではない自分らしいブログが書けるように、と頑張っています。
9. Posted by macrobi papa   April 08, 2006 08:14
あはは、「ワッショイ玄米」最高です、若葉さん。
このタイトルで記事書こうかな。
10. Posted by macrobi papa   April 08, 2006 08:22
おはようございます、maisenさん。
いつもコメントありがとうございます。

不安だから玄米を食べないのは勿体ないです。
何とかそういうのを消してしまえないかと、ずっと考えておりました。
フィチン酸が片づいたら、最後の課題「アルファー化問題の解決編」です。
そちらもお楽しみに。
11. Posted by macrobi papa   April 08, 2006 08:26
おはようございます、かこさん。

ホントは文章を褒めてもらえるより、絵を褒めてもらえるのがうれしかったりして(喜)。
これ書くのに、ホント苦労しました。
せっかく書いたのに、画像が大きすぎて、アップできなかったり・・。

カニは10分くらいでちょちょいと書きました。
はい、ウケねらいです(笑)。
12. Posted by macrobi papa   April 08, 2006 08:32
小鉄さん、お疲れ様です。

一緒の会社で働けるご縁を頂いて、とてもうれしく思います。これからどんどん大きく育てていきましょうね。
きっと出来ます。このメンバーなら大丈夫です。

13. Posted by ぼんた   April 08, 2006 09:16
はじめまして、ぼんた@鹿児島です。

ずーっと、こっそりROMしていました。
いつもすてきな記事をありがとうございます。

キレートしてるフィチン酸!
あまりのラブリーさに、思わず書き込んでしまいました。
フィチン酸については、ずっと気になっていた事なのですごく勉強になります。

昨年大阪から南下してしまったので、なかなか東京へ行けないのですが、一度papaさんにもお会いしたいなあと野望を抱いています。
お仕事&子育てとお忙しいとは思いますが、次回の記事も心待ちにしています。
14. Posted by 若葉   April 08, 2006 21:06
ワッショイしちゃってください!(/^o^)/
15. Posted by マクロ美風   April 09, 2006 00:24
papaさん、こんばんは。
あまりにも素晴らしい記事なので、私もチョイと書いてみました。
TBさせていただきますね。

それにしてもpapaさんは凄い!
これからは、私のパパ(父親の意味)になってください!
16. Posted by macrobi papa   April 09, 2006 00:50
ボンタさん、いつでもウェルカムです。
五人娘で乾杯しましょう。
17. Posted by macrobi papa   April 09, 2006 00:51
若葉さんの許可が出ました。

よーし、ワッショイしますよぉー!
18. Posted by macrobi papa   April 09, 2006 01:00
トラックバックありがとうございます。
チョイと書いてしまうところがスゴイです。
記事が充実しました。

パパですか?
喜んで。
19. Posted by マクロ美風   April 09, 2006 07:38
papaさん、おはようございます。
ちょっと、追記しましたので、もう一度覗いてくださいますか?
20. Posted by sayu   February 15, 2009 18:48
5 花巻でマクロビカフェをやっています。
sayuと申します。始めまして。

フィチン酸とフィターゼについて詳しく解説してあるサイトないかな〜と探していたところ、宝物のようなこのブログにいきあたりました。

これ以上の解説はない〜!しかも蟹の絵!最高です。

トラックバックさせていただいて記事を書いてもよろしいでしょうか?

本当にありがとうございます。
21. Posted by macrobi papa   February 15, 2009 22:29
こんばんは、sayuさん。
ホント云うと、少しだけsobe's cafeさんとは繋がりがあったりして(笑)。

昔の記事ですが、リンクありがとうございます。自由に使って下さい。

かに、可愛いでしょ♪力作です。
22. Posted by fairydragon   March 19, 2011 16:32
放射線の問題が取り上げられる中、フィチン酸について書かれているモノを探していて辿り着きました。
分かりやすい文章とカニに感激しながら、この記事を書かれた意図に深く感銘しています。
許可なくリンクさせていただきますが、どうぞよろしくお願いします。
このご縁に感謝
23. Posted by 岩崎 陽一   May 27, 2013 09:18
顔が黒くなってやせてくるのはフィチン酸が主な原因ではありません。玄米にはもう一つ決定的な毒(ヒトにとって)が含まれます。アブシジン酸といわれるモノで長年食べ続けると死ぬことがあります。玄米を食べている母親の母乳を飲むと赤ん坊はアトピーになったりします。
一物全体といって丸ごと全部を食べるのがいいと単純に思いがちですがそんな簡単なモノではないようです。
24. Posted by papa   May 29, 2013 23:11
アブシジン酸。

アブシジン酸による障害が発生するのは、腎臓などに障害のある高齢者や病気の人とされています。
決定的というのは、正しくないように思います。
死に至るケースも、ないとは申しませんが、統計的にそれも証明できません。
また、その性質から見て、アブシジン酸は一定時間の吸水で、無毒化できるようです。

じゃがいもなどが、良い例ですが、一物全体が絶対ではないという点では、同じように思います。
アンデスでは、じゃがいもの皮は剥いて食べるのが、基本です。
その毒素の多くが、表面にあるからです。

岩崎さん。
物事のネガティブな面を書かれるときは、非常にデリケートに扱わなければなりません。
コメント欄だから仕方ありませんが、アブシジン酸の毒性について、詳しい説明を行わず、その恐い部分だけを切り取るのは、フェアでなくなります。

玄米を食べている母親の赤ん坊がアトピーである子はいますが、アブシジン酸との関連性を、証明することは出来ません。
「なったりします」と書かれますが、赤ん坊を抱くお母さんは、その一文に大きな不安を感じるでしょう。

それは、無責任になってしまいます。

物事の悪い面を書くことで、いたずらに恐怖をあおってしまうことを、
悪意のあるなしにかかわらず、私は諒としていません。

玄米だから、完全でも、白米だから、安全でもないと、私は考えています。
マクロビオティックも、人の作ったものですから、完全ではありません。
でも、不完全だからこそ、その中で人は成長するのだと思うのです。

昔の記事ですので、今の知識や考え方と違う部分も多いです。
その点を指摘し、コメントで補おうとして下さったことに、感謝しています。

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