September 18, 2007

料理人とキュウリ

僕が若い頃、キュウリをドカドカ音立てて切っていて、
「お前の切り方はうるさいんだ!」って、
シェフの鍋が飛んできたことがあります。


あれは、痛い。

「なんだい!メチャクチャ云いやがって」
僕、切るスピードに自信があったから、納得がいかない。
しばらくムッツリしていた。

でもね、頭が冷えてくると・・ちょっとは考える。

「音を立てないで切るって、どういうことだろう?」

音がするのは、早く切ろうとして腕に力が入りすぎてるから。

まず胸を張って、アゴを少し引く。
姿勢が良くなって、体の重心がへその下(丹田)に移るから、
肩にかかっていた体重が抜けて、両腕が軽くなるでしょ。

力を抜いて・・・手首のスナップを効かす。
トトトトと、切るとスピードがずっと速い。
しかも力が抜けている分、疲れないんだ。

これがシェフ流の教え方だったのかもしれません。
自分で見つけたことは忘れないから。
「答えを示すのではなく、答えへ導くのが良い先生」って、久司先生の言葉。

鍋は痛いけど(笑)。
鍋に当たって死ぬことはなかったし、
不器用な僕でも料理人になれた。

最近、キュウリを切っていて
「僕も料理人になりたいんですけど。
 やっぱりそのくらい包丁使えないとダメですか?」
って、聞かれました。

「いやいや、そんなことはないよ」と、僕。
・・必殺の教え方があるんだよ(ある意味、必殺)。

キュウリの切り方、教えます。


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この記事へのコメント

1. Posted by ルパ   September 18, 2007 10:57
あ!敬老の日過ぎたら、若返りですね、笑。

いい先輩をお持ちですね。
鍋は痛いですが。
私の場合、包丁が飛んできたことがあってあせりました。
いかりのあまり先輩の手が滑ったわけですが。
包丁、先が砕けました、汗。

それでも野菜の切り方が上達しない私は
パパさんに弟子入りさせてもらわねば。
その前に包丁を研いどかなくちゃ〜

ところで包丁を右手で持つとしたら、両足はどうなってますか?
古武道の達人のお話では、右足を少し前に出すと疲れないということなんですが・・・。
2. Posted by ちず   September 18, 2007 14:47
・・・。
切り方ですか。
私は音ではないのですが、すぐに欠けちゃいます
せっかくグローバルの包丁をセットで買ったのに、あっという間に(半年?)ギザギザしちゃいました
砥げなかったので(シャープナーはあったけど)安いのに買い換えましたが。。。悔しいです!
欠けない使い方、知りたいです(涙)
3. Posted by macrobi papa   September 18, 2007 22:31
おかげさまで若返りました。
気づいてくれて、ちょっと嬉しいです。

包丁は危険ですね。
包丁が当たるとさすがに僕も死にます。

包丁の研ぎ方講座、やりましょうね。
古武術、試してみます。
4. Posted by macrobi papa   September 18, 2007 22:37
ちずさん、コメントありがとうございます。

砥石で包丁を研ぐことは僕の趣味です。
パツパツに切れるように研いで、野菜をスパスパ切るのは、ゾクゾクするくらい楽しい。
・・これじゃ、変人ですね。

欠けたら、研げば良いのです。
ちょっとしたコツで、誰でも研げます。
5. Posted by マミ   September 20, 2007 00:29
料理人の世界って、鍋飛んできたり、包丁を投げられたりって普通なんですか?
前にとても小さなカフェで働いていた時、そこのシェフが、ものは投げないんですけど、注意の仕方とか物言いが怖くて、いつもびくびくしていました。また、あるときおそば屋さんで料理が来るのを待っていたとき、厨房で先輩みたいな人が後輩らしき人を怖い感じで罵倒していて、いたたまれなくなって食事も早々に逃げ出したことがあります。でも、もしかして、こういうのって別に料理人の世界では普通だったら、あまり神経質になることなかったのかな、とちょっと考えてしまいました。
6. Posted by macrobi papa   September 20, 2007 22:28
マミさんへ。
鍋はありますが、包丁は見たことがありません。
最近は人手不足で、若い人が逃げちゃうから。

調理場は陽性の強い職場です。
ある程度の陽性さがないと、レストランのピーク時に体のスピードがついてきません。
閉塞的で、暑く、仕事は長時間でハードです。
結構、意固地な人が多いのもその影響かもしれませんね。
それをクールダウンするのにお酒をいっぱい飲む人も多いです。
7. Posted by macrobi papa   September 20, 2007 22:38
【続きです】
過酷な環境で生き残るためには、厳しさも必要だと思います。だからそういうのも悪いことに見えるけど、必要だと思うのです。きちんと後でフォローは入れます。

ただ、相手の人格を否定したり、四六時中怒鳴り散らしていたりは、良くないです。
あげくの果てにはお客様を不愉快な気持ちにさせてしまうのは、料理人として失格です。
料理作る意味がなくなってしまう。

とても厳しい世界です。
だからこそ先輩に認めてもらえる仕事ができたとき、お客様にありがとうって云われたとき、じーんと胸に沁みるんです。
8. Posted by マミ   September 20, 2007 23:33
丁寧にお答えくださってありがとうございます。
macrobi papaさんのおっしゃる、料理人の世界の「厳しさ、がなんとなく分かったように感じます。
厳しくても、尊敬できる先輩方だったら、その厳しさがありがたく思えるのでしょうね。
認めてもらおうと必死になってがんばっているから、認められたときの嬉しさを知っているから、皆必死になってその厳しさについて行っているのかも、と思いました。

そういえば、私の働いていたカフェのシェフもお酒好きだったなぁ、と思い出しました。

料理人の人たちって、すごいですね。
大変な修行の道を通ってきたんですね。

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