March 08, 2006

マクロビと玄米 2)玄米と農薬

こめこんにちは、パパ@マクロビ。
今日は「玄米と農薬」について、書いてみたいと思います。

「全粒である玄米は、白米より農薬が残りやすい。
   だから白米を食べたほうが良い」


ずいぶん昔から云われていることですが、いまだにそう信じている方も
いるようです。
実際、農薬がどのくらい残るのか?を測定すると、
玄米は白米の「2倍」近い量が残留します。

しかし玄米には、体の中の有害物質を強力に排泄する(体の外に出す)力があって、体内に残留する量は『玄米の方が少ない』んです。

玄米の排泄力って、なんでしょう?


 ■玄米の排泄力■

昭和30年代に「水俣病」が問題になったとき、玄米食をしていた家庭は有機水銀に汚染された魚介類を食べても、発症しなかったと話題になったことがありました。
そこで、玄米には「何らかの解毒作用」があるのでは?と云われるようになります。
 (水俣病:チッソ工場排水に含まれる有機水銀が原因の公害病)

昭和40年に入って、農薬として毒性の高い有機水銀を使ったものが問題になったとき、この玄米の効果が研究されました。
下のグラフは、その時の水銀対策委員会が提出したデータに基づくもので、マウスを使って残留する水銀の量を比べています。

グラフ有機水銀の残留量は
白米0.004ppmに対し
玄米0.009ppm。
2倍以上です。

しかし、1ヶ月後に
体内に残留する量は、
白米0.035ppmに対し
玄米0.015ppm。
逆に半分しか残りません。


その多くが体の外に排泄されています。
その排泄量を比較すると、
白米2.5%に対して、玄米は88.3%。
強力な排泄力があるのが分かります。
少なくとも、農薬を気にして白米に変える必要はなさそうです。

この原因となるのが、玄米のヌカ部分に多く含まれる<フィチン酸>という成分。
ミネラルと結合することで、ミネラル欠乏症をおこす『悪者』として、扱われることも多いのですが、体内の重金属・添加物・農薬など有害物質を排泄する働きが、人体においても実証されています。
(フィチン酸については別の話で詳しくまとめます)

また、玄米の中に含まれる<γ-オリザノール>という成分は、
自律神経に働きかけ、活性化させることにより、
体に入ってくる有害なものを吸収しないで、
そのまま排泄させる効果があると云われています。


 ■無農薬・自然農法という選択■

玄米には強力な排泄効果があります。

「だから強い農薬を使っていても平気です」は違いますよ。
有機水銀なんて、もってのほかです。
農薬が使われていないものを食べたい。
子供たちには、少しでも安全なものを選びたいです。

でも「これ、農薬使かっているんでしょ?食べません」も違うと思います。
僕も、普通の八百屋で青菜を買うとき、「う〜ん」と悩みますよ。
しかし農産物の自給率が落ちてきている昨今、自分の健康ばかりを考え、
農薬を「毒」だと無条件に否定してしまうのもどうかと思ったのです。

僕は農家の人ではありませんが、
農業って大変な仕事だな・と感じます。
無農薬・自然栽培の農法なら、さらに労力がかかります。
農業の担い手が減少する中で、その少ない担い手には大きな負担になるでしょう。

そうした薬品すべてを「悪」と見るのではなく、より安全な農薬や、少ない農薬を効率よく使う農薬を研究する。それも選択のひとつであると思うのです。


もうひとつ。
この話をすると、こう話して下さった方がいます。

「私が不耕起米(ふこうきまい)を選ぶのは、無農薬であることもありますが、
 それ以上に「その生産者がもつお米に対する想い」に共感するからです。
 水は人の想いや心を映すと云います。
 不耕起で米を作ることは、大変なことでしょう・
 あえて、それを選ぶ生産者の思いや情熱は、
 水田の水を通して、稲に実り、玄米として私たちに届きます。
 とてもありがたいことですね」

そこに宿る<心>というものは、栄養学の数値で現れるものではありませんが、今の私たちにはとても必要なものであるように感じます。

無農薬・自然栽培で作られたものを選ぶことで、そうした活動に取り組む人たちを<支持すること>が出来ます。
それもまた、選択のひとつであると思います。


vegetus at 16:04│Comments(29)TrackBack(1)clip!マクロ本 

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1. マクロビオティック玄米(1) 無農薬玄米  [ マクロビという考え方 (マクロビオティック情報) ]   September 02, 2007 08:09
 マクロビオティックには玄米が欠かせませんが、「玄米は農薬が残留するから危険なんじゃない?」と言われることがよくあります。  それに対する反論のひとつが、「玄米に含まれるフィチン酸が農薬や重金属を排出してくれるから残留していても大丈夫」  その反論の反論...

この記事へのコメント

1. Posted by しろうさ   March 08, 2006 17:30
こんにちは。
私は簡単に「天日干しが良い」なんて思っていましたが、お米を買った農家さんから作業の様子を聞いて、生産者にとっては大きな負担でもあるのだとも知りました。
また、水田=水で育つお米は、育てる人の波動をより受けやすいと聞いたことがあります。お米を通して真剣に生きている人の波動をいただくことができるというのはとてもありがたいことです。また、不耕起・無農薬・お米作りへの情熱、といった部分では素晴らしいと感じても、政治面での発言などが私にとってはちょっとキツイと感じてお付き合いを見合わせたこともあります。やはりそういう気をいただくことになると思ったので。
金曜日から新しいお仕事なのですね、よいスタートになりますよう。
2. Posted by ???   March 08, 2006 18:10
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3. Posted by ぢゅん   March 08, 2006 18:17
papaさん、こんにちは!
わたしは数値で表せないものにとっても魅かれます!むしろ数値で表せるもののほうが世の中少ないですよね。
思いはいつか形になって現れます。まず思いを重視することがわたしの幸せ法です。
4. Posted by maisen   March 08, 2006 19:02
栄養学の数値では表現しきれないものというのは
確かにあると思います。
玄米と白米、もちろん栄養素の面でも
大きな差がありますがそれだけではないと思います。
玄米は水につけておけば
2,3日もすれば芽が出ますが、
白米は腐るだけです。
内に秘める生命力の違いは
栄養素というものさしでは
測ることが出来ない何かがあるように思います。
感謝
5. Posted by macrobi papa   March 08, 2006 22:11
こんばんは、しろうささん。

有機栽培であっても、美味しいものとがっかりするものに
分かれます。一途に農業に取り組む生産者の野菜は、必ず旨い。生命力のようなものを感じるのです。
心というものは抽象的に感じますが、確かに味を左右するものだと思うのです。
6. Posted by macrobi papa   March 08, 2006 22:16
ああ、鍼美人さん。

また全部「???」になってます。
申し訳ありません。
コメントが読めなくて残念です。
7. Posted by macrobi papa   March 08, 2006 22:19
こんばんは、ぢゅんさん。

自分のイマジネーションや想いを「形」に出来る
クリエイターの仕事は素晴らしいと思います。
自分の仕事もそうありたいと思います。
8. Posted by macrobi papa   March 08, 2006 22:29
こんばんは、maisenさん。

あの天日米のマイセンさんのブログを書かれているのですね。今、気が付きました。
玄米を炊く時の塩の使い方などを参考にさせて頂いたことがあります。

いつも読んで頂いてありがとうございます。

「マクロビと玄米」今後の展開として
(1)玄米の問題点で取り上げた問題点をひとつ残らず片づける・・予定ですが、更新ペースがゆっくりになります。

でも、新方式の炊飯法とか、かなり面白いと思いますです。
9. Posted by かこ   March 08, 2006 22:31
わたしは、数値化人間、典型的理系女です。農薬使うかどうか、使って悪いとは全く思ってはいませんが、作り手の誠実さがないものは食べたくないと思っています。
心がこもって作られているか、それは自分の味覚だけが頼り。作ってる場まで見ることはできないですから。
無農薬は手がかかると聞いてます。作り手を思いやり、それを察知できる人になりたいと思っています。
10. Posted by にこりんぼう   March 08, 2006 22:46
ひさしぶりに書き込みます
排泄に関しグラフ、数値化してもらって良くわかりました。説得力ありますね。
逆に数値化できない面(思い)も考えさせられました。農薬使用だから全て悪とはいいきれないですね。
マイセンさんが書き込みしてる!おいらもマイセンさんの玄米食べてます(笑)
11. Posted by リノ   March 08, 2006 23:08
今回も楽しく勉強させて頂きました。
まだまだマクロビ初心者で、自分で考えて玄米を
購入するより、信頼出来るお店で購入しているだ
けなので味の違いも内容もよく分かっていないと
思います。

確かに玄米の方が白米より農薬が多いのでそれは
どうなのかな〜。と思っていました。
今回の記事を見て、また考え方が変わりました。
色々分かると面白いですね。
玄米って凄いな〜。一生懸命つくってくれる農家
さんにも感謝ですね。
12. Posted by kyoko   March 09, 2006 13:08
papaさん、こんにちは。

とてもわかりやすい内容で、とっても勉強になりました。ありがとうございます!
残留農薬のことを突っ込まれると、応えられなかったのです・・^^; それに排泄効果のことも知りませんでした・・。(皆さんはよくご存知なのですね・・)

それに、作り手の思いには、同じ思いでしたので「うんうん」と大きく頷いてしまいました。
目には見えない力って本当にあると思います。
最近、特にそう思います。(念とか願とか・・)

記事の続きを楽しみにしていますね☆ 

13. Posted by macrobi papa   March 09, 2006 22:36
こんばんは、かこさん。僕も理系の端くれです。

科学とか考古学とか数学とか、大好きです。
玄米を炊くのに温度がどうとか細かく計っています。

「気」を数値化する機械も出来たらしいですね。
心を持つロボットが発明されるのも時間の問題でしょう。

でも料理には、目に見えないものがあって、その何かが
大きく味を決定づけているように感じます。
14. Posted by macrobi papa   March 09, 2006 22:39
こんばんは、にこりんぼうさん。

初めてグラフを作ったので、なんだかイマイチです。
次はもっと上手に作ります。

15. Posted by macrobi papa   March 09, 2006 22:41
こんばんは、リノさん。

今、一番興味があるのが「不耕起米」です。
一度、1年を通して米作りの勉強をしてみたいなぁ・
と思っているのですが。
16. Posted by macrobi papa   March 09, 2006 22:49
こんばんは、kyokoさん。

排泄についてですが、このデーターを持ち出して
玄米を食べていれば、全部排出してくれるから大丈夫!
と、云う人もいました。
だから原発問題も、河川の汚染も、私には関係ないというのです。

玄米の排泄も無敵ではありません。
実験のマウスはみんな死んでしまいました。
そして自然破壊は全く別の問題です。
17. Posted by 鍼美人   March 10, 2006 21:11
papaさ〜ん
???コメント削除して下さい
って今度は大丈夫?
コメントは改めて
18. Posted by macrobi papa   March 11, 2006 00:21
はい、鍼美人さん。

3つ消すのは大変なので、そのままにしちゃいます(笑)。
コメントは楽しみにしております。
19. Posted by ふゆこ   March 11, 2006 07:40
涙がでてきます。
そうですね。
想いと心が私たちの身体の中にも伝わって、いつも玄米を食べることが幸せに通じています。
あのあたたかさの正体を知りました。

ほんとうにありがとうございます。

あの、「はじめまして」のところにもコメントしたのですが、リンクを貼らせていただいてもよろしいでしょうか?
メールアドレスを発見できなくて、こんなところからで大変失礼だとは思ったのですが、どうぞ宜しくお願い致します。
20. Posted by ぴよか   April 19, 2006 01:07
こんにちは(^o^)
私は栄養学を専門に学んでいる、大学4年生です。

卒業研究で、ちょうど「玄米の排泄効果」について、調べようとしています。
玄米食による重金属類の排泄効果を確かめるため、魚介類中の水銀と、ひじきの砒素で、実験をしようと思っています。
今、せっせと試料集めをしているところです。
このグラフの参考資料や、その他papaさんが参考にした文献など、教えていただけるとたいへん嬉しいです!!
よろしくお願いしますm(_ _)m
21. Posted by macrobi papa   April 19, 2006 01:36
品川に「味の素・食のライブラリー」というところがあります。そこは食に関する文献が山のようにあるところで、そこにある本で米に関する記述のあるものは、全部目を通しました。
そのなかで、水俣病に関する玄米の排泄効果の有効性について調べた数値を参考にしました。

重金属の排泄効果についての実験。
うーん、あの実験はラットを使うのですよね。
良かったら別な課題に変えませんか?

温度帯の条件別、玄米中の酵素の活性とか・
たぶん、たくさんの人に役立つ研究になると思いますよ。
もし興味があればご連絡下さいね。
22. Posted by ぴよか   April 19, 2006 15:25
ありがとうございます!

品川の「味の素・食のライブラリー」!
今ネットで見たのですが、文献数すごいですね!
米関係だけでもかなりですよね!?
うちの研究室でお米についての研究は初めてなので、少しでもアドバイスいただけるとありがたいです!!

実験は、ラットではなく人間でやりたいと思っていました。
研究室のメンバー9人を2グループに分け、玄米食と白米食で、有害物質の排泄効果を比較してみたいと考えていました。
食事内容を統一して、24h蓄尿で。
有害物質としては、とりあえずひじきのヒ素と、魚介類の水銀を考えていました。
できれば農薬もやってみたいです。

ラットでの実験は、どのようなものなのでしょうか?
温度帯の条件別、玄米中の酵素の活性というと、どのようなものでしょうか?

長々とすみません。
メールいただけると嬉しいです!!


23. Posted by 矢だれ   October 19, 2006 10:02
 はじめまして
 以前から、パパさんのブログを読ませんいただいています。
 ありがとうございます。
 今回は私のブログで「玄米と農薬」を取り上げましたが、そこで、パパさんのブログを(参照)で紹介させていただきました。
 お礼とご報告を申し上げます。
24. Posted by macrobi papa   October 20, 2006 02:37
ぴよかさんのコメントのお返事を頂いていたことに気が付きませんでした。

もう返事を読むことはないでしょうが、思うことがありますのでここに書いておきます。

ぴよかさんは、ラットの実験がどのようなものであったか
知らないのです。
水銀の排泄量比較に使われたラットは全て死にました。
白米のラットはもちろん、玄米でほとんど水銀を排出していたラットもです。水銀中毒特有のひどい痙攣を起こして。
この実験に価値があったとは、私はどうしても思えません。

だから何か別の道を選んで欲しかったのです。
出来ることがあれば何でもご相談下さい。
25. Posted by macrobi papa   October 20, 2006 02:39
こんばんは、矢だれさん。
ブログ拝見しました。

とても優れたデータベースとしてまとまっています。
いろいろ参考になりました。
12月末でブログを打ち切られるのは残念です。
残りの記事も楽しみにしています。
26. Posted by ユミQ   March 18, 2008 12:29
初めまして!いつも楽しく読ませて頂いてます。
先日、玄米の農薬排泄作用について書いた際に、こちらの資料を参考にさせて頂きました。この事については目や耳にしてはいたのですが、具体的なデータを初めてmacrobi papaさんのブログで目にしたもので…。
記事も新たに勉強になりました。ありがとうございます!

妊娠を機にマクロビオティックを学び、まだ半年しか経ってませんが、もっと知りたいと自分の魂が求めているような気がしています。
とはいえ今は授乳中なもので、ついつい「これは食べちゃだめ」という方向へ意識が行きがちなのが難点です。でも貴重な一心同体のこの時期、赤ちゃんがいろいろ教えてくれてるような気がします。
もっと自由にマクロビを楽しめるよう、これからも気長に学んでいきたいです。ブログ楽しみにしてます!
27. Posted by macrobi papa   March 18, 2008 20:19
こんばんは、ユミQさん。

この頃は、データの出典をきちんととると云うことをしてませんで、学術的にはあんまり意味の無いデータになってしまったかと思います。
しかし、何かの参考になれば、幸いです。

子供が出来て、子育てを頑張らなくちゃと、思ったものですが、今にして思えば、子供に教えてもらうことが、たくさんありました。
試行錯誤しながら、ブログの方も書いていきます。
どうぞこれからもよろしくお願いいたします。
28. Posted by nana   July 01, 2009 16:31
 はじめまして。

とても興味深い記事が満載で、ゆっくり読ませていただきます。

私はマイセンさんの玄米をいただいているのですが、
味はもちろん、送っていただくときの心遣いや、「いいものを食べてほしい!」という強い思いがジンジン伝わってきて好きなのです。
ちょうど、私の手元に昨日玄米さんが届きました♪
29. Posted by macrobi papa   July 01, 2009 23:39
はじめまして、nanaさん。
記事も多いですから、読むのも大変でしょう。
どうぞゆっくりいらして下さいね。

昔の記事、コメントを下さった昔の常連の方々のお名前をみると、とても懐かしい気持ちになります。

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