August 24, 2005

マクロビはじめて物語 4)大森英桜

【マクロビはじめて物語】のシリーズでは、
石塚左玄氏の「食養生」が、桜沢如一先生によって
「マクロビオティック」となり、久司道夫先生の働きで、
世界中に広まってゆくまでを書きました。

それは「マクロビオティクが世界に広まっていく(拡散)する【陰】の流れ」
それとは対照的に「マクロビオティックを個人の健康を作ることに凝縮させた【陽】の流れ」がここ日本にはありました。

もうひとつのマクロビオティックの物語。
今日の主人公は「大森英桜先生」です。

大森英桜

大森英桜 おおもり ひでお (1919〜2005)

日本でマクロビの大家といえば大森先生。
1919年(大正8年)、静岡県熱海市に生まれました。

子供の頃からの魚介類と卵・砂糖・果物の過食が原因で多くの持病に悩み、 小学校を卒業した頃から「腹水」がたまり、3年近く寝たきりで苦しみ、 やがては、肺結核を患うに至ります。

そんなある日、母親が野菜売りの老婆に聞いた大根おろしの湿布で、 一晩にして腹水がとれてしまいます。
これをきっかけに、現代医学に疑問を持つようになりました。

人生の真理追求を求めた大森青年は中学進学を志しますが、
貧しい家庭環境と病弱な体ゆえに、それを断念します。
上京し、床屋の見習いや国鉄の荷物係などをし生活、
やがて会社重役の書生をしながら
築地の工業高校の夜間部に通います。

その頃の若き大森先生は、
腹式呼吸や精神統一法などを試みますが、
真理の答えを 得るには至りませんでした。

やがて戦争から帰ってきた大森先生は
熱海に設計事務所を開きます。

当時の熱海は大火事の後で、事業はとても忙しいものでした。
その中でも「人生とは、幸福とは、神仏とは、恋愛とは?」と考える日々。
しかし体調は悪く、その持病に苦しみます。

1950年(昭和25年)8月のある日。
一人の青年が「真理を語らんとする者は、我と語れ」と書いたプラカードを持って 熱海の町に現れます。
彼は塩を飯にかけて、ひとくちを丹念に噛み、
水は少し舐めるだけ。

「宇宙のすべては陰と陽から成る」と語り、2冊の本を示しました。

桜沢如一著 『宇宙の秩序』『新食養療法』

この2冊が、当時30才だった大森先生の運命を大きく変えます。 2日2晩かけて、むさぼるように読みました。
そして、「正食」を実践しながらの無双原理と正食医学の研究を始めたのです。

昭和31年、38才で一慧(かずえ)夫人と結婚。
6人の子供に恵まれます。
そして、長年の研究の末、動物性のものは一切食べない 「純正正食(完全玄米菜食)」を提唱。
食本主義(食べ物が人を作る)の哲学から、
「食べ物を正すことで、あらゆる病気を治癒することができる」と説きました。

事業は弟たちに譲り、自宅を開放して難病者の食養指導をはじめた大森先生は 多くの患者を奇跡的快方へと向かわせます。

41才の時に念願だった桜沢先生との出会いを果たします。
共に研究し、桜沢先生亡き後も<正食・無双原理>の後継者として活動。
優れた望診法・姓名学の達人であった大森先生は 睡眠時間4時間、見た目からは信じられないほどのタフさを持ち、 日本国内において数万人の食養指導を行います。
またCI協会(桜沢先生がマクロビを普及するために作った団体)を通じて、 たくさんの「正食」の指導者を育てました。

そんな先生も2005年8月5日、家族に看取られながら 85才でその生涯を終えます。
もう先生にお会いすることはできませんが、 その「理想や夢」は多くのお弟子さんたちに受け継がれていくでしょう。
天国に行かれた大森先生。
今頃、桜沢先生とマクロビ談義に花を咲かせているのかもしれません。

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1. マクロビ IS OK  [ マクロビという考え方 ]   August 24, 2005 07:13
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2. 第1号です!  [ マクロビの心=平和 ]   August 25, 2005 15:02
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3. 大森英櫻先生の著作との出会い  [ マクロビオティック妊娠&出産日記 ]   November 30, 2005 08:04
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この記事へのコメント

1. Posted by kodamacro net   August 24, 2005 08:25
papaさんおはようございます!

大森先生の存在を取り上げてくれて
ありがとうございます。

大森先生は、ある意味日本において、玄米食を
極端でストイック、そして病気治しという暗い
イメージを作りあげてしまった人でもあり、
そういうネガティブな面でしか評価されていない
ようにも思います。

これから、大森先生のポジティブな魅力を伝えて
いけたらなぁと思ってます!

2. Posted by macrobi papa   August 24, 2005 09:23
おはようございます。kodamacroさん。

マクロビの食べ方はいろいろあると思います。
日々の生活を楽しむ食べ方、病気を克服するための食べ方、
人間が霊的に進化していくための食べ方。

大森先生が残してくださったマクロビが、これから先に
築かれる「新しいマクロビオティック」のために必要になる
と思うのです。
3. Posted by macrobi papa   August 24, 2005 09:29
おはようございます。なかなか先生。

はじめて大森先生のことを知ってから、すぐにこの記事を
まとめていました。
ホントは直接お会いして、お話をしてから
インタビューとして記事を書きたかったんです。

でも、こういう感傷的な気持ちはもう書かないことにします。かわりにお2人に「巡り合わせのご縁」を頂いたので。
4. Posted by kodamacro net   August 24, 2005 09:37

「マクロビ四天王」のそれぞれに、「はじめて物語」をリンクさせていただきました!

最初は自分で4人の詳細記事を創ろうと思ったのですが、Papaさんの「はじめて物語」が素晴らしいので利用させてください。

ブログはまさに共同創造!

なんて言って、実は私がサボりたいだけだったりして…。






5. Posted by さとっち   August 24, 2005 13:20
macrobi papaさん、コメント有難う御座います。

とても熱心に子育て&マクロビ生活されているんですね。
特に子供にどんなマクロビを食べさせるのか?
は皆さん興味あるようですね。

メーリングリストについては、こちらのサイトに丁寧に書かれています。見てみてください。

「メーリングリスト何でもQ&A」
http://www.kt.rim.or.jp/~atsato/ml/faq/index.html

これからも時々見させていただきます。
6. Posted by cocomelo   August 24, 2005 17:19
macrobi papaさんこんにちは!リンクの件ありがとうございました!私の方まで載せていただいて恐縮です。それから、テンペのコメント、ほんと〜にありがとうございます!今すぐ食べたくなっちゃった・・また近々テンペを買いに行って、レシピを試してみたいと思います。わくわく。
7. Posted by なかなか   August 24, 2005 22:08
>こういう感傷的な気持ちはもう書かないことにします。

はい。その通りだと思います。
大森先生はマクロビのプロですから、すべてを計算、予測されていたと思います。
きっとあとを継ぐ下地ができたとご判断されたのだと思います。

>かわりにお2人に「巡り合わせのご縁」を頂いたので

ありがとうございます。
でもこれも大森先生の計算どおりだったかもしれませんよ。なにせ幽霊を出すことも引っ込めることもできるお方ですから。
8. Posted by akko   August 24, 2005 22:17
大森英桜先生、いつかお目にかかりたい先生
だったので、とても残念です。

ご家族に囲まれて最期をむかえられたとか。
私の人生もそういう最期をむかえたいな。
でももちろん、まだまだ生きたいですけどね。
9. Posted by macrobi papa   August 24, 2005 22:32
お返事ありがとうございます、さとっちさん。

リンクで勉強させて頂きます。
でも、アウトルックというプログラム持ってないんで
MLは使えないみたいです。
10. Posted by macrobi papa   August 24, 2005 22:35
こんばんは、cocomeloさん。
こちらこそ、僕のブログと基本テーマが似ているので
なんとなく親近感がありまして・

テンペの話は2人だけの内緒で♪
11. Posted by macrobi papa   August 24, 2005 22:39
こんばんは、なかなか先生。kodamacroさん。
次の井戸端会議・土曜日にゆっくり伺って、朝一で直接職場に向かう方法を検討しています。
新しい職場なのでシフトが決まりません。
もう少し交渉してみます。
12. Posted by macrobi papa   August 24, 2005 22:44
こんばんは、akkoさん。

私たちは大森先生と同じくらいの若さでマクロビに出会うことが出来ました。
しかも昔より簡単に様々な情報を手に入れられる。
なにか僕も残していきたいと思うんです。
まだ死ねないけど(笑)。
13. Posted by kimcake   August 26, 2005 19:21
いつも参考になるお話ありがとうございます。
自分一人で病気を克服しようとしても
家族や実家の両親などなかなか理解してもらうのに
苦労で、こんな風にきちんと話が出来たらもう少しは
辛い思いをしなくてすむかしら・・・と、
考えてしまいました。
一日も早く元気になることが、マクロビ食の
証明になるのですよね。
本人の体は本人しか解らない・・・
でも、同じ考えの方がいらっしゃると言う事は
大きな励みになります。
14. Posted by macrobi papa   August 27, 2005 01:37
こんばんは、kimcakeさん。
僕にできることは少ないです。

僕の記事を読んで下さって、それでマクロビを好きになってくれたら、幸せです。
その人、それぞれが自分のマクロビを見つけるための
手がかりみたいなものを作っていけたらって、
そう思うんです。
15. Posted by 以前お世話になりました.   January 17, 2006 03:39
先生はなくなってしまったのですか。最後は安らかだったのですか。原因は何だったのでしょうか。
16. Posted by くま   September 23, 2007 10:24
先生は亡くなっていたんですね。
今更ながら、悲しくて仕方がありません。
自らで体現してずっと死なないと思っていましたから・・・。
17. Posted by macrobi papa   September 23, 2007 22:17
こんばんは、くまさん。

先生が亡くなって、もう2年になります。

駅の階段でひどい怪我をされて、介護が必要となりました。先生はそれをよしとせず、少しずつ食事を減らして御亡くなりになったと聞いています。
僕は結局、直接、師事を仰ぐことはできませんでした。

人は永遠に生きることはできません。
どう生きるかと同じくらい、どう死んでいくのかということは、大切なことだと僕は思うのです。
18. Posted by なぎさ   October 17, 2007 22:02
このブログを通して、いろいろ勉強させていただいています。すばらしいです。本当にありがとうございます。
ホスピスで働いている知人が、死に方でその人がそれまでどのように生きて来たかがわかるというような話をしていたことを思い出します。
19. Posted by macrobi papa   October 21, 2007 08:30
なぎささん、こんにちは。
昔の記事も読んでもらえて、とても嬉しいです。

生きようとすると、死ぬことを否定してしまいます。
でも「死」があるからこそ、今生きることがあるのかもしれません。そう思います。
20. Posted by ルシカ   October 04, 2012 20:58
はじめて!
みきみきさんの記事から訪問させていただきました
素晴らしいblogですね!
マクロビに興味をもっているのでとても勉強になります

わたしのblogでも転載させていただきたく思うのですが、よろしいでしょうか?
多くの方に知っていただきたく思います

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